ブランディングの継続と成長を生み出す
キーパーソンは誰?

ブランディングという言葉を聞くと、「理念をつくる」「ロゴやWebデザインを整える」「ブランドコンセプトを決める」といったことを思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん、それらはブランディングの大切な要素です。

一方で、実際にプロジェクトを進めてきた中で、最近あらためて課題だと感じていることがあります。それは、つくったブランドを、どう継続させ、成長させていくのかということです。

プロジェクトを立ち上げ、時間をかけてブランドを整える。

最初はみんなが意識し、新しいデザインや言葉が生まれ、社内にも期待感が生まれる。

しかし、半年、1年と時間が経つにつれて、少しずつ日常に埋もれていく。

「そういえば、そんなこと決めたよね」と、いつの間にか、ブランドがただ壁に貼られた言葉になってしまう。

これは決して珍しいことではありません。ブランドは、「覚えてください」と伝えるだけでは浸透しないからです。ブランドは、組織の中に根づいてこそ、その力を発揮する。

そして、組織に根づかせていくうえで、極めて重要な存在が管理職です。このことを実感するためにも、私たちは「ブランドを担う管理職研修」という取り組みを行いました。

管理職の日常が、企業らしさをつくる

今回の研修では、前半で管理職としての役割や考え方をあらためて見つめ直し、後半では、自社のブランドコンセプトを社内外へ浸透させるための施策を考え、実行計画まで落とし込みました。

単なる「ブランド研修」でも、よくある「管理職研修」でもありません。大切にしたのは、管理職自身がブランドの当事者になることでした。

管理職が何を優先して業務を遂行するのか。

部下の意見をどのように聞くのか。

失敗した人に、どんな声をかけるのか。

お客様との信頼関係を、どのように築いていくのか。

こうした日常の小さな判断や行動が積み重なって、組織の「当たり前」になっていきます。そして、その「当たり前」が、社内外から見た「企業らしさ」=ブランドにつながっていく。だからこそ、今回の研修では、まず「管理職の基礎」を再確認するところから始めました。

 

「このブランドを、私たちはどう育てていくのか?」

後半では、管理職自身がブランドコンセプトを社内に浸透させるための施策を考え、議論し、発表しました。

これも、単なる企画会議ではありません。「このブランドを、私たちはどう育てていくのか?」この問いに対して、自分たちで考え、決め、そして行動につなげていく。そこに今回の研修の大きな目的がありました。

ブランドは、会社から一方的に与えられるものではありません。日々の仕事の中で、社員一人ひとりが実践することで、少しずつ形になっていくものです。

その中でも、組織や人に大きな影響を与える管理職が、ブランドの意味を理解し、自ら行動することには大きな意味があります。

 

「じわじわ」と「歩みを止めない」

今回、考えられた施策は、新たに社内の各部署を巻き込んだプロジェクトとして、これから丁寧に動かしていきます。

短期的な目的を達成するための、いわゆる「打ち上げ花火型」のキャンペーンとは違い、今回のブランディング施策で大切にしたいのは、「じわじわ」と、そして「歩みを止めない」ことです。

決めたことを、まずは小さくやってみる。現場の反応を見る。必要であれば見直す。そして、また次の一歩を踏み出す。徐々に巻き込む人を増やし社内に共通認識・言語が増えていく。(余談ですが、これはデザイン経営のプロセスにとても良く似ています)そうした積み重ねの先に、ブランドが組織の文化として根づいていくのだと思います。

ブランドは、会社を飾るためのものではありません。

会社が自分たちらしく成長し続けるための土壌であり、その土壌を日々耕していくのが、一人ひとりの社員であり、キーパーソンである管理職なのだと思います。

 

ブランディングを「経営方針」に組み込む

管理職をキーパーソンとしながら、歩みを止めずに継続させる……つまり、ブランディングを短期プロジェクトにせず、経営方針や戦略に組み込むことが大前提となります。

ちなみに、フロットでは4年前より「ブランディング」を経営方針に掲げ、以降毎年アウターブランディング(ブランドエクスペリエンス)、インナーブランディング(ブランドクリエイト)の枠組みの中で10項目前後のプロジェクトを継続させています。

3年前、合併や社名変更という大きな変革が行われましたが、これらブランディングプロジェクトの継続的な実施によって全社的な繋がりが保たれ、新しい社名も社内外に受け止めてもらう事ができました。

これからも経営環境の変化は続きますが、どのような環境下でも私たちらしく成長し、ブランドを「育て続けられる組織」をつくっていきたいと思います。

Brand Control Adviser  K.IGARASHI


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