価格競争を抜け出す「物語」の力

低出生体重児向けおむつの画像

「毎日使うものこそ、できるだけ安く手に入れたい」
これは多くの人がごく自然に考えることではないでしょうか。

100円の差であっても、長い目で見れば小さな額ではありません。100回買い足せば1万円の差になります。
これまでの私の購入の決め手は「日々の消耗品は1円でも安いものを買う」でした。

ところでみなさんは「4S」サイズのおむつをご存知でしょうか?

ドラッグストアにある「新生児用」よりもさらに小さい、低出生体重児用のサイズです。私自身、息子が超低体重出生児として生まれるまで、そんなサイズが存在することすら知りませんでした。

私は息子のおむつに『パンパース』の「はじめての肌へのいちばん*」を購入していました。
日本の紙おむつ市場で高価格帯にあるこのおむつをあえて買い続けた理由。それは、この「4S」という小さな小さなおむつが、NICU(新生児集中治療室)にいた頃の息子を包み込んでくれていたからです。

息子は予定日より2か月早く生まれました。出生体重は1,238g。平均的な日本人の男の子は約3,000gですので半分以下の重さです。
夫の片手におさまってしまうくらいの小さな体は、生まれてすぐに保育器に入れられました。
そんな息子に、私たちが用意できたものは生命維持のためのコード類を引っ張らないようにするためのミトン(子供用の手袋)とおむつだけでした。

生まれてすぐ、NICUの看護師より病院の売店でおむつを買ってくるよう言われました。
そのおむつが『パンパース』の「はじめての肌へのいちばん*」の4Sサイズです。

出産後、度々買い足し見慣れたおむつのパッケージには、
早く生まれた赤ちゃんの発達のために、病産院やNICUと協力しながらおむつを開発したこと
赤ちゃんの体重に合わせて様々なサイズを展開していること
『パンパース』の「はじめての肌へのいちばん*」の購入が、低出生体重児とその家族への寄付や支援につながること
などが書かれていました。

これを読み、高くてもこのおむつを買い続けようと強く思いました。
後から知ったのですが、世界で初めて低出生体重児向けのおむつを開発したのがパンパースだったのです。

ただでさえ市場規模が小さく、開発や製造コストを考えれば利益が出にくいであろう「低出生体重児用おむつ」。それを作り続け、赤ちゃんと家族や医療関係者を支えてくれている。
その企業姿勢に触れ、私の中でパンパースは「紙おむつのメーカー」から「息子と私たちを救ってくれた、応援したい企業」へと変わりました。


現代の市場において、商品の「機能」や「品質」だけで差別化を図ることはますます難しくなっています。
「価格の安さ」で選んだ顧客はより安い競合が現れれば簡単に離れていきます。
しかし、私がパンパースに感じたような「この企業の理念が好き」「この姿勢を応援したい」という共感を持った顧客は、価格に関係なくファンで居続けてくれるでしょう。

日々営業活動する中で、どのお客様にも、創業の原点や、商品・サービスに込めた独自の「ストーリー」があることを強く感じます。
顧客に「選ばれる理由」は価格や機能だけではありません。
「企業姿勢」や「企業理念」も決め手になり得るのです。
それらを、SNSで、パッケージで、WEBサイトで、様々な場面で発信していくことが重要ではないでしょうか。

‘肌へのいちばん’以外のP&G製品内比較


BCA/S.SONOBE
 


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