インナーブランディングと
プライドの話。

昨年末に話題をさらった大手企業の経営統合が、早くも白紙撤回かという騒ぎになっています。少し前には、アメリカより激しい買収阻止を受けた鉄鋼会社の話もありました。

それらの要因には「プライド」が影響しているという見方があるようですね。経営立て直しのため、想定される数多の障壁を超えて「合併」や「買収」に至った決断も、「プライド」を前にすると、こうも簡単に崩されてしまうとは。

プライドを守る。

この言葉はカッコいいし心地よいです。社会派ドラマの決め言葉です。しかし、このプライドを固辞した結果、経営が立ち行かなくなり生活に困る社員が溢れたら後悔しないだろうか・・・などと、短絡的な感想を持ちました。(世間の私達には知り得ない事情もあると思いますが)

個人の「プライド」は自己責任でも、組織の「プライド」は扱いが難しいし、厄介。(組織の名のもと実は個人の防衛本能プライドだったというケースもありますし)

年功序列型やピラミッド型の組織では、長く働いている人や上位職の価値観やプライオリティが、その組織の「プライド」となっている事もありますね。しかしこのVUCAの時代、その長く持ち続けた「プライド」が組織の成長を阻んではいないか?と一度立ち止まってみる必要があるかもしれません。

ブランディングのお手伝いをしていると、お客様企業の「プライド」に触れる機会が多く、それは先代から継承している社是や理念、技術や社風などに現れています。

変えてはいけない信念=理念がある一方で、技術や提供サービスなど時代や環境に合わせて変える必要があるものがあります。ブランディングも、どちらかというと後者に含まれます。

ちなみに私達が提供している社員参加型のインナーブランディングでは以下のような作業を組み込んでいます。

会社が大事に守ってきた想いをしっかり紐解く。お客様が本当に評価してくれている価値は何なのかを深堀る。さらにその価値をどのような表現でお客様に伝え提供していくのかを改めて考える。

これらの検討を重ね明文化していくと「プライド」の本質にたどり着いて鳥肌が立つことがあります。

今、自分たちを縛っているのは、実は表面的なプライドなのかも?守りたい、貫きたい想いはもっともっと深いところにあるのかも?考え抜いた先に、社員一人ひとりが体現できて組織を強くする「本当のプライド」が生まれるのかもしれません。

そして体現された「本当のプライド」を受け取ったステークホルダーが、「その企業を選択した自分にプライドを持つ」。更に、ステークホルダーの「選択したプライド」に応えるように、企業も成長する……そんな素敵な循環が地域に増えたら、いいですよね。

もちろん企業規模に関係なく。

と、最近の話題に触れ、改めてインナーブランディングの効能について気付かされました。

Brand Control Adviser  K.IGARASHI


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