とあるビジュアルリニューアルプロジェクトから得た教訓

以前携わったお仕事での出来事です。

「商品の販売数を上げるため、ターゲットを改めることにした。ついては、これまでの商品イメージを刷新し、新たなターゲットに響くビジュアル展開をしていきたい。」
ある時、お客様からこんなご相談をいただきました。

新たなビジュアルイメージのキーワードは「和モダン」。その方向にシフトしようと考えた理由は「和モダンテイストの商品は、競合相手がいないブルーオーシャンだったから」とのことでした。(その他にもさまざまな思いやお考えがありましたが、ここでは割愛します)
※ブルーオーシャン:競争相手がほとんどいない市場のこと。反対に、競争相手が多く存在している市場をレッドオーシャンと言います。

「和モダン」と言っても幅広いため、具体的なイメージについて深掘りすると、担当者それぞれが抱く「和モダン」のイメージが違い、内部での意見が統一されていないことがわかりました。
また、そもそもブルーオーシャンである現状にはそれなりの理由があるからで、もし本当にそこに挑むのであれば、もっと慎重に時間をかけて進めるべきではないかと、自分の中でブレーキがかかりました。

そこで、改めてターゲットについても伺ってみると、はじめは「若い世代」「都心部住まい」などのキーワードが出てきましたが、より掘り下げてお話しを聞いていくと、実は「丁寧な暮らし」「本物志向」など、「暮らし」や「本質」を大切にする方々が大きなターゲットとしてあり、その中でも「若い世代」や「都心に暮らす人」に届くように~といったご要望であることが分かりました。

このまま進めるには色々と問題があることがわかってきたため、まずは「和モダン」に限定せずに、改めてペルソナを作り方向性を再検討する流れをとることになりました。そして再検討ののち決定したビジュアルイメージの方向性は、やはり「和モダン」とは違うものになりました。

リニューアル後、幸いにも良い結果が出はじめたこともあり、担当者様からは「依頼内容を改めて良かった。正しい方向に舵を切ることができた」といったお声をいただき、また実際に商品をつくっている現場の方からは、「これまで、自分たちの商品はこんなものだろうと、自分たちで限界を決めていたが、実はこんな人たちにも響く商品だったのかと気付かされ、仕事に誇りを持てるようになった」とのフィードバックもいただきました。
思いがけず社員の方の士気向上にもつながり、様々な方面で良い結果が出た、とても貴重なお仕事となりました。

今回のケースでは、プロジェクトが進行する中で、初期の計画から変更が様々発生しましたが、お客様と対話を繰り返し、柔軟に対応しながら進められたからこそ、結果につながったのだと考えます。ただ、これは特に特別なケースではなく、成功談でよくあるケースの一つだと思います。私は、この出来事を成功体験として思い出すのではなく、「疑問や違和感はそのままにしない」「本質と向き合う」など、基本的なことを疎かにしない大事さを感じた出来事として、時折思い出すのでした。特に企画段階で方向を間違えると、その後の軌道修正がとても大変です。初動こそ丁寧に、共通の認識を持って進行していくことを心がけようと、このコラムを書きながら改めて思いました。

BCA / Designer  TAKANO


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