現在、当社でも採用活動を行なっています。今期の採用計画には入れていなかった為、かなり遅いスタートとなってしまいました。
時期的に遅いから厳しいかなぁと思いつつ、お付き合いのある大学の教授達を訪ねて「欲しい人材」をお伝えし学生の紹介をお願いしてきました。
すると、複数名の先生が口を揃えて「内定はいくつか貰っていても、絞らずにまだ探している学生は居る」とのこと。スロースタートでも希望が見えました。
先生達曰く、最近は、内定もらって安心!残りは卒論に集中!バイトに集中!旅に出る!などと、切り替わる学生は少ないそうです。
もちろん、内定をいくつも貰えるのは売り手市場だからではありますが、学生達も真剣に悩みながら「最初の一歩」を決めかねているという事。「給与が高い有名企業ではどんな競争が待っているかわからない。かといって名も知らない地元の中小企業では本当に大丈夫なのか親も心配する」などと。
さらに、最近の学生は企業情報の取り方も変化してきているそうです。求人情報や学校の就活センターや教授の紹介を入り口にし、企業のホームページを見に行くのは定着した流れですが、その先。そのホームページが一見カッコよくても「実像ではないだろう」と見抜いている、と。どんな仕事かだけでなく、どんな人たちが働いているのか。どんな社風なのか。実際はどうなのかリアルな情報が欲しいのですよね。
そうなってくると、誰でも更新でき、発信頻度の高いSNSは強いです。Instagram、X(旧Twitter)、TikTokを使いこなしている企業は若者との接点を増やしていて、採用にも何らかの影響を与えるのは事実のようです(Facebookは「経営者情報交換ツール」化しているので置いておいて)。もちろん、全ての発信が「良い影響」とは限らないので内容にはそれなりの吟味も必要ですが。
当社の場合には、社内活動を発信するwebマガジン「TAGAYASU」が、少なからず採用に影響を与えているようで、ここ数年、採用選考時に「TAGAYASUを見ています」と言われるようになりました。このTAGAYASUは、当初それほど採用を意識して立ち上げたものでは無く「仕事(クライアントワーク)以外の取り組みや出来事を、社員やその家族にも共有していこう」と始めたものですが、結果的に社外へも社風を理解してもらえる一番良いツールに育ってきました。
採用といえば、こんな事もありました。
昨年の採用活動も秋に行ったのですが、複数名の優秀な学生が応募してくれて中から1名の採用が叶いました。その新入社員に、なぜ最終的にフロットを選んだのか、最近改めて聞いてみると意外な答えが返ってきました。「面接の時、僕たち学生にもちゃんとお茶を出してくれて、すごく話しやすかったんです」(え?そこ?うちは普通だけど、他社はお茶出さないの?みたいな感じではありますが)
また、その面接で「何か質問はありますか?」という役員からの問いに、「皆さんご自身はどんな事を大切にして仕事をしていますか?」と、全身から冷や汗がでるような質問が返ってきたのですが、面接官4人はたじろぎながらもそれぞれ真剣に考え答えました。
この一連の接点で彼なりに何か感じたものがあったようです。(お茶を出さず、質問にも適当に答えていたら、この出会いは無かったかもしれません)
地域に暮らす人が認識しやすいBtoC企業や、広告費をたくさん使える企業と違い、当社も含めBtoB中小企業は学生との接点を作りにくいです。
採用が必要な時に、突然エネルギーを使って「良く見せよう」「知ってもらおう」と活動しても遅いと痛感しています。
日頃から「どんな仕事をし、何を大切にし、どんな社風を持つ会社なのか」を発信し、地域や社員やその家族や、これから出会う学生を含めるステークホルダーに、地道に知ってもらう活動を行う。そして、新しいステークホルダーといざ接点が生じた時に、どう振舞うか、どう行動するか。
細かなルールやマニュアルに頼るのではなく、自然に無理なく社内の皆が同じような心持ちで応じ、自社を語る事ができる・・・それがブランディングの目指すところだな、と、採用活動の折に思うのでした。
Brand Control Adviser K.IGARASHI
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